ブログ

Blog

ノルウェーでEVが普及した背景と歴史

ノルウェーの港町と、駐車中に充電する電気自動車のイメージ

※イメージ画像

ノルウェーでは、2025年に販売された新車乗用車の95.9%がEVでした。寒い国で、なぜここまで普及したのでしょうか。2006〜2025年の新車登録と、減税、車種の拡大、充電設備の整備をたどると、EVが一部の愛好家の車から、家族が毎日使う車になった過程が見えてきます。

帰宅したら車を充電し、翌朝は暖かい車内で出発する。長距離を走る日は、途中で急速充電する。ノルウェーでEVが広がった背景には、こうした使い方を選びやすくする制度と設備がありました。

購入支援はいつ整い、どの車が選ばれ、充電場所はどのくらい増えたのか。20年の変化を順に見ていきましょう。

この記事の内容
  1. ノルウェーの新車市場では、2010年代にEVが広がり、2020年に過半数を占めた
  2. ノルウェー政府は、EVの購入時にかかる税負担を長年軽くしてきた
  3. 日産リーフからテスラ、欧州メーカーへ、選べるEVが増えていった
  4. 公共の急速充電設備は増え、充電規格の中心はCCS2へ移ってきた
  5. 国と自治体は、公共充電器だけでなく住宅の配線工事も支援した
  6. 充電の進歩は、コネクターの共通化と、自動認証の両方で進んでいる
  7. 新車のEV比率は約96%でも、登録車全体のEV比率は約32%
  8. 現地のEV利用者は、費用や静かさ、家庭での使いやすさを評価している
  9. 寒い地域でも、駐車中の充電と出発前の予熱を組み合わせればEVを使いやすくできる

ノルウェーの新車市場では、2010年代にEVが広がり、2020年に過半数を占めた

ノルウェー中央統計局(SSB)の新車登録を年ごとに集計すると、電動・ゼロ排出車の割合は2011年の1.4%から、2014年には12.5%、2020年には54.3%へ上昇しています。普及が大きく進んだのは、量産EVの選択肢が増えた2010年代です。[1]

2006〜2025年の新車登録台数と電動・ゼロ排出車の割合
2006〜2025年の新車登録台数と電動・ゼロ排出車の割合。棒は年間の新車登録台数、折れ線は電動・ゼロ排出車の割合。SSB表14020を年次集計。EV以外の動力にはハイブリッド車などを含みます。

棒は年間の新車登録台数、折れ線は電動・ゼロ排出車の割合。SSB表14020を年次集計。EV以外の動力にはハイブリッド車などを含みます。

グラフを拡大して見る

一方、自動車情報評議会OFVによる2025年の新車乗用車登録は179,550台で、その95.9%が、電池の電力だけで走るEV(BEV)でした。2026年1〜9月のEV比率も97.9%と、高い水準が続いています。[2][3]

税負担の軽減が長く続き、買える車種と充電場所が増えたことで、EVを選ぶ人が段階的に増えてきました。

20年分の新車登録データを見る

グラフはSSBの「Electric/zero-emission」区分です。本文のOFVによるBEV比率とは統計の区分・集計が異なるため、台数を混ぜずに掲載しています。この記事では、一般的なEVの説明にはBEVを使い、SSBの系列には統計上の名称を付けています。

新車乗用車登録:SSBの同一系列
年総数電動・ゼロ排出割合
2006120,139170.01%
2007138,426160.01%
2008116,4971780.15%
2009101,9391190.12%
2010131,3863570.27%
2011141,7422,0101.42%
2012140,1153,9382.81%
2013143,0857,8885.51%
2014144,45718,08912.52%
2015150,91725,78317.08%
2016154,88324,23415.65%
2017158,86433,07320.82%
2018148,08346,12931.15%
2019140,42659,40242.30%
2020141,45576,75354.26%
2021176,318113,73864.51%
2022174,327138,27079.32%
2023126,990104,59282.36%
2024128,661114,36888.89%
2025176,847169,56995.88%

年次データをCSVで保存

ノルウェー政府は、EVの購入時にかかる税負担を長年軽くしてきた

ノルウェーの購入支援を理解するには、現金の補助金だけでなく、登録税とVAT(付加価値税、日本の消費税に相当)の免除を見る必要があります。購入時に支払う税金を軽くすることで、EVを価格面でも選びやすくしてきました。登録税の免除は1990年から、VATの免除は2001年7月から始まっています。[4][5]

金額のNOKは、ノルウェーの通貨「ノルウェークローネ」を表します。例えば30万NOKは約502万円です。以下では、制度の金額に日本円の目安を添えています。

購入支援と普及の主な節目
時期国の制度・方針購入者や市場にとっての意味
1990年〜2022年EVの登録税を免除車を初めて登録するときの税負担を軽減。量産EVが増える前から支援が続いた。
2001年7月〜2022年EVの購入価格にかかるVATを免除当初の標準税率は24%。その後25%になったVATの負担が免除され、車両価格の差を縮めた。
2017年2025年の新車乗用車・小型バンをゼロ排出車にする目標を国家交通計画に明記メーカーや充電事業者に、将来の市場の方向を示した。
2023〜2025年VATの免除範囲を車両価格の50万NOK(約837万円)までに変更。EVにも重量に応じた登録税を導入普及が進む中で、購入支援を続けながら一部の課税を戻した。
2026年1月〜VATの免除範囲を30万NOK(約502万円)までに縮小。超過部分には25%を課税購入時期と車両価格によって税負担が変わるようになった。

税制は2026年10月17日時点の確認内容です。2025年目標は政策目標であり、エンジン車の販売を一律に禁止する制度ではありません。[4][5][6][7][8]

円換算は2026年10月16日のノルウェー中央銀行公表値(100円=5.9746NOK、1NOK≒16.74円)による目安です。制度が始まった当時の為替ではなく、金額の大きさをつかむために同じレートで換算しています。[47]

例えば、税抜価格50万NOK(約837万円)の車に25%のVATがかかれば、税額は12万5,000NOK(約209万円)です。EVのVATが全額免除されていた時期には、この分だけ購入時の負担が軽くなりました。登録税の免除も加わり、EVの車両価格が高くても、購入時の総額では選びやすくなる仕組みでした。

税制は購入のタイミングにも影響します。OFVは、2025年末の販売増加について、翌年のVAT変更を前に購入を早めた人が多かったと説明しています。年末の急増にはこうした事情も含まれるため、長期的な普及と、制度変更前の駆け込みを分けて見ると市場の動きが分かります。[2]

欧州の制度は、EVを供給するメーカー側にも働きかけた

ノルウェーはEU加盟国ではありませんが、欧州経済領域(EEA)を通じて欧州市場と結び付いています。新車のCO₂排出量を抑える欧州の規制は、メーカーがEVを含む低排出車を増やす背景になりました。ノルウェー独自の減税が「買う側」を支え、欧州市場の規制が「供給する側」にも働きかけた、と分けて考えると制度の役割がつかみやすくなります。[9]

日産リーフからテスラ、欧州メーカーへ、選べるEVが増えていった

日産リーフがノルウェーで販売を開始したのは、2011年10月です。2018年にはリーフの新車登録が12,303台となり、EVだけでなく乗用車全体で最も売れた車種になりました。[10][11]

2019年にはテスラ Model 3が15,683台を記録。その後はModel Yに加え、フォルクスワーゲン ID.4、アウディ e-tron、Škoda(シュコダ) Enyaqなど、家族で使える車種が広がりました。価格や車体サイズ、荷物の量に合わせて選べることも、EVを日常の車にするうえで大切な変化です。[12][14]

2015〜2025年の車種別新車登録と、公共急速充電設備の拡大

色付きの部分がEV、灰色がEV以外です。車種ごとの色と台数は、グラフのすぐ下の表で確認できます。

2015〜2025年の車種別新車登録と、公共急速充電設備の拡大。色付きの棒はEVで、車種別の色と台数は直下の表に示しています。棒全体は各年の新車乗用車登録台数。同じメーカーの車種を隣り合わせに積み上げました。網掛けの緑は車種内訳を掲載していないEV、灰色はエンジン車・ハイブリッド車など。折れ線は同時に急速充電できる台数で、右軸を使います。
2025年:メーカー別の車種内訳
メーカー車種・色登録台数新車全体の割合
NissanAriya4,5652.5%
TeslaModel 36,6083.7%
Model Y27,62115.4%
VolkswagenID.35,5723.1%
ID.48,8024.9%
ID.76,9763.9%
BMWiX13,4861.9%
i42,9491.6%
AudiQ4 e-tron2,9961.7%
Q6 e-tron3,2501.8%
Škoda(シュコダ)Enyaq4,8362.7%
Elroq3,8942.2%
ToyotabZ4X7,2744.1%
VolvoEX405,2702.9%
EX305,2062.9%
FordExplorer EV4,1862.3%
KiaEV32,5621.4%
BYDSealion 74,2742.4%
XPENGG62,9241.6%
G91,5010.8%
MGMG42,6301.5%
その他のEV(車種内訳未掲載)54,85030.5%
エンジン車・ハイブリッド車など7,3174.1%
新車乗用車 合計179,549100.0%

色付きの棒はEVで、車種別の色と台数は直下の表に示しています。棒全体は各年の新車乗用車登録台数。同じメーカーの車種を隣り合わせに積み上げました。網掛けの緑は車種内訳を掲載していないEV、灰色はエンジン車・ハイブリッド車など。折れ線は同時に急速充電できる台数で、右軸を使います。

グラフを拡大して見る

OFVとノルウェーEV協会の年次資料から作成。確認できた車種数は年によって異なり、表にない車種は「その他のEV」に含みます。灰色部分はEV以外です。販売と設備の増加を並べて見るための図です。2025年の内訳は公表時点の179,549台を使用しています。[39][40][51][11][12][41][13][14][42][43][44][46][50]

中国メーカーも伸びているが、2025年の最多販売はテスラ Model Y

OFVによると、中国発のブランドは2025年に24,524台、乗用車市場の13.7%を占めました。2024年の10.4%から伸び、BYDはブランド別で10位となっています。一方で、テスラは34,285台、19.1%を占め、Model Yだけでも27,621台でした。中国メーカーの参入によって、既存メーカーと競い合う車種がさらに増えています。[2]

2025年は、BYD Sealion 7が4,274台、XPENG G6が2,924台、MG4が2,630台でした。上の内訳では21車種を表示し、新車市場全体の約65.4%を車種名で確認できます。残る約30.5%は「その他のEV」、約4.1%はEV以外の車です。[44][16]

日本では見かけにくいメーカーも、ノルウェーの販売上位に入っている

Škoda(シュコダ)、MG、XPENGという名前を、日本の道路ではあまり見かけないかもしれません。しかし、2025年のノルウェーでは、Škoda(シュコダ)が9,408台、MGが5,458台、XPENGが4,466台を登録しています。日本で馴染みのあるブランドと、海外で選ばれるブランドには違いがあります。[44]

日本の読者に紹介したい5ブランドと、2025年のノルウェーでの販売規模
ブランド・読み方どのようなメーカーか登録台数
新車全体の割合
Škoda(シュコダ)チェコのメーカー。1991年からフォルクスワーゲングループに加わっています。[58]9,408台
5.2%
BYD
ビーワイディー
中国のメーカー。ノルウェーではSealion 7などを販売し、2025年のブランド別で10位になりました。[2]5,927台
3.3%
MG
エムジー
1924年に英国で始まったブランドで、現在は中国のSAICグループに属しています。[57]5,458台
3.0%
XPENG
シャオペン(小鵬汽車)
2014年創業の中国のEVメーカー。ノルウェーではG6やG9を販売しています。[60][16]4,466台
2.5%
Kia
キア
1944年に始まった韓国のメーカー。長い歴史を持ちながら、EVも展開しています。[59]3,901台
2.2%

登録台数と割合は、エンジン車・ハイブリッド車も含むメーカー全体の数字です。[44]

新しくEV市場に参入した企業も、長い歴史を持つメーカーも、それぞれの車種で競い合っています。ノルウェーの販売表を見ると、日本で馴染みのあるブランドに加え、普段は目にしないメーカーまで購入候補が広がっていることが分かります。

2025年のメーカー別台数・割合を見る

車種を分けず、メーカー全体で集計した表です。エンジン車やハイブリッド車も含みます。

2025年のメーカー別新車登録(全動力)
メーカー登録台数割合
Tesla34,28519.1%
Volkswagen23,85813.3%
Volvo14,0327.8%
Toyota10,3745.8%
BMW10,1095.6%
Škoda(シュコダ)9,4085.2%
Audi7,5124.2%
Ford7,0923.9%
Mercedes-Benz6,0723.4%
BYD5,9273.3%
Hyundai5,8743.3%
MG5,4583.0%
Nissan4,6702.6%
XPENG4,4662.5%
Polestar3,9892.2%
Kia3,9012.2%
Peugeot3,2011.8%
Lexus1,8301.0%
Mazda1,7971.0%
Renault1,5910.9%
その他メーカー14,1037.9%

東南アジアでは、中国ブランドやベトナムのVinFastがEV市場の主力に

東南アジアでは、こうした変化がさらに鮮明です。IEA(国際エネルギー機関)によると、2025年に東南アジアで売れたEVの半数超が中国ブランドで、約3分の1はベトナムのメーカーによるものでした。[61]

ベトナムではVinFast(ビンファスト)がEV市場のほぼ全体を占めています。インドネシアでも、中国ブランドの車種がEV販売の75%超を占め、その割合は2024年から約20ポイント上昇しました。日本ではあまり見かけないメーカーが、現地では多くの人の購入候補になっています。[62]

この東南アジアの統計は、電池だけで走るBEVと、外部充電ができるプラグインハイブリッド車(PHEV)の合計です。割合の分母はEV販売で、すべての新車販売ではありません。

日本の街で見かける車と、海外で売れている車には違いがあります。車種別・メーカー別の数字を見ることで、EVの普及とともに、どの企業が新しい選択肢を届けているかも見えてきます。

公共の急速充電設備は増え、充電規格の中心はCCS2へ移ってきた

ノルウェーの公共急速充電設備は、2018年に同時利用できる台数が1,736台分だったのに対し、2025年には10,670台分まで増えました。遠出する際に充電できる場所と台数が増えたことは、日常だけでなく旅行にもEVを使う環境づくりにつながっています。[17][18]

急速充電口の規格で見ると、初期のリーフなどが使うCHAdeMOと、欧州で広がったCCS2が主な比較対象です。ノルウェーのテスラも、Type 2(テスラ仕様・DC急速充電)からCCS2へ対応を進めてきました。北米のNACSとは異なる規格です。[21][48]

2014〜2025年のCHAdeMO・CCS充電口数の推移
2014〜2025年のCHAdeMO・CCS充電口数の推移。各年末前後にNOBILへ記録されていた充電口数で、年間の新設数ではありません。原資料の急速・準急速区分を合計しています。CCSは欧州のCCS2です。

各年末前後にNOBILへ記録されていた充電口数で、年間の新設数ではありません。原資料の急速・準急速区分を合計しています。CCSは欧州のCCS2です。

グラフを拡大して見る

2024年末の記録では、CCSが9,268口、CHAdeMOが3,043口。2025年末にはCCSが10,437口、CHAdeMOが2,952口でした。CHAdeMOの設備が使われ続ける一方、CCSの設備が増えていることが分かります。[53][54]

NOBILには記録方法の変更があり、過去のテスラ設備には別分類もあります。CCSの線は原資料のCCS区分を示し、全国の全CCS2端子を同一条件で数えた総数とは異なります。[55][56]

Type 2の普通充電と、テスラ仕様のDC急速充電の違い

欧州の普通充電で使うType 2は、AC(交流)で充電します。例えば、テスラの欧州向けウォールコネクターは、三相電源で最大22 kWに対応しています。この22 kWは同製品の仕様です。[63]

テスラは、欧州のスーパーチャージャーでType 2をDC(直流)の急速充電にも使ってきました。V2はテスラ仕様のType 2とCCS2の2本のケーブルを備え、V3はCCS2を使います。「Type 2」という名前に加え、普通充電か急速充電かを確認すると、設備の違いが分かります。[21]

欧州と北米の充電口:普通充電と急速充電の違い
地域・設備充電口と充電方式
欧州向けウォールコネクターType 2(AC充電・最大22 kW、三相電源)
欧州・ノルウェーのV2スーパーチャージャーType 2(テスラ仕様・DC急速充電)とCCS2(DC急速充電)。1基に2種類のケーブルを備える
欧州・ノルウェーのV3スーパーチャージャーCCS2(DC急速充電)
北米を中心に展開する規格NACS。欧州のType 2やCCS2とは形が異なる

NACSは北米向けの規格として公開されました。ノルウェーの資料にある「Tesla専用」は利用できる車の区分で、NACSの口数ではありません。テスラ仕様のType 2の急速充電口を数えた連続年次データは今回確認できていないため、上のグラフは数値を確認できたCHAdeMOとCCSを掲載しています。[48][55]

また、2種類のケーブルを備えていても、同時に充電できる車は1台という設備があります。旅行で使う設備を選ぶときは、車に合う充電口があることに加え、同時に何台が使えるかを見ると、充電場所を選びやすくなります。[20]

規格別の年次データを見る
各年末前後の充電口数(NOBIL)
年CHAdeMOCCS(欧州のCCS2)
201414179
2015285225
2016517478
2017832786
20181,1021,059
20191,4881,592
20201,9412,329
20212,2692,971
20222,5935,171
20232,8827,287
20243,0439,268
20252,95210,437

各年末前後のNOBILの記録で、原資料の急速・準急速区分を合計しました。年をクリックすると、その年の原資料を開けます。

充電口数の年次データをCSVで保存

国と自治体は、公共充電器だけでなく住宅の配線工事も支援した

初期の充電設備を増やすため、ノルウェーでは2009年に公共充電ポイントの設置費用を100%、1口あたり最大3万NOK(約50万円)まで支援する施策が行われました。普及初期に充電場所を増やすための、国の関与を示す例です。[22]

その後は、採算が取りにくい地域の急速充電網も支援対象になりました。公的機関Enovaは、2022年4月の発表で、2015年以降に250か所の充電拠点へ約1億5,000万NOK(約25億円)を支援したと説明しています。同時に、当時すでに多くの新しい拠点は支援なしで建設されるようになっていました。初期の整備を支えた後、民間投資を補う形へと役割が変わってきたことが分かります。[23]

オスロでは、集合住宅の駐車場に共通の充電用配線を整えた

家に戻ったら充電できる環境は、毎日使う人にとって身近な利点です。オスロ市は2017年から、集合住宅の共用充電設備を支援し、2020年の紹介記事では費用の20%を助成する制度を案内しています。2019年12月20日時点で、903の住宅組合が合計4万6,000台分の駐車区画の整備について助成を申請しました。[24]

同市が紹介するRøverkollen住宅組合では、230区画の駐車場に共通の配線を整え、住民が必要に応じて自分の充電器を接続する方式を採っています。最初に建物側の設備を整え、EVに買い替えた人から利用を増やせる仕組みです。[24]

ノルウェーでは、エンジンヒーターにも外部電源を使います。EV普及の歴史を調べた研究では、初期の充電に建物の屋外コンセントが使われ、その後、専用の壁掛け充電器へと移ってきたことが報告されています。既存の電源を生かしながら充電設備を整えてきた経験は、日本の集合住宅でも、共用の配線工事から段階的に導入する方法を考える参考になります。[25][38]

充電の進歩は、コネクターの共通化と、自動認証の両方で進んでいる

充電器に挿せることと、挿すだけで認証や支払いが進むことは別の機能です。CCS2などは接続方式の話で、プラグ&チャージは、対応する車と充電サービスが通信して認証する仕組みです。

充電規格とサービスの主な変化
時期変化利用者にとっての意味
2010年代CHAdeMOに加え、欧州でCCS2の設備が増加新しい欧州向けEVを、共通する規格の急速充電器で充電しやすくなった。
2014年ISO 15118-2を発行車と充電器の通信、プラグ&チャージの基礎となる規格が整った。
2020年代IONITYなどがプラグ&チャージに対応対応車・契約を使えば、毎回カードやアプリで認証する手間を減らせる。
2022年ISO 15118-20を発行第2世代の通信規格が整備された。プラグ&チャージ自体は、これ以前から存在する。

発行年と、実際の車両・充電器への搭載時期は別です。[26][27][28][29]

交流の普通充電にもISO 15118を使う設計があります。ただし、今回確認した統計では、ノルウェーのAC充電器のうち、電力線を使う通信(PLC)やプラグ&チャージが実際に使える設備の割合は分かりません。導入時には、コネクターの形に加え、車両、充電器、認証サービスの対応をそろえることが、操作を減らす近道になります。[30]

新車のEV比率は約96%でも、登録車全体のEV比率は約32%

新しく買う人の選択が変わっても、以前に購入した車はすぐには入れ替わりません。SSBの乗用車統計では、2025年末の登録車2,935,738台のうち、EVは945,182台、32.2%でした。残りにはガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車などが含まれます。[31]

2008〜2025年の登録乗用車台数とEVへの入れ替わり
2008〜2025年の登録乗用車台数とEVへの入れ替わり。個人・法人を含め、年末に登録されている乗用車の台数。SSB表07849を集計。EVは電気区分で、年間の販売台数や実際の走行距離とは異なります。

個人・法人を含め、年末に登録されている乗用車の台数。SSB表07849を集計。EVは電気区分で、年間の販売台数や実際の走行距離とは異なります。

グラフを拡大して見る

それでも、新車市場でEVが選ばれ続けることで、保有車全体の構成は変わっていきます。ノルウェーは、新車の販売がEV中心になる段階から、街で使われる車が少しずつ入れ替わる段階へ進んでいます。

個人と法人では、EVへの買い替えの速さにも違いがある

上のグラフには、家庭で使う車に加え、企業やリース会社が所有する乗用車も含まれます。

新車購入の区分で見ると、2021年のEV比率は個人の直接購入で83.1%、法人・リースをまとめた区分では42.6%でした。家庭で買う車と企業やリースを通じて導入する車では、EVを選ぶ速さに違いがあったことが分かります。[14]

一方、リース会社が所有し、個人が使う車もあります。SSBも所有者と利用者を分けて分析しています。個人・法人別の「保有台数×動力」を2008〜2025年の同じ条件で追える公開系列は今回確認できなかったため、保有台数のグラフは全体の実数を掲載しています。家庭の買い替えと企業の車両導入を考える際には、利用者の違いにも目を向けると、必要な充電場所や使い方が見えてきます。[49]

現地のEV利用者は、費用や静かさ、家庭での使いやすさを評価している

販売台数だけでなく、買った後の評価も見てみましょう。ノルウェーEV協会の2025年「Elbilisten」調査では、回答したEV利用者15,325人の92%が、EVに満足または非常に満足と答えています。[32]

2016年26%
2026年67%

同協会の2026年調査では、EV利用者の世帯の67%が、家庭で持つ車はEVだけと回答しました。2016年の26%から増えています。EVを補助的な2台目として使うだけでなく、家族の移動をEVでまかなう世帯が増えてきたことが分かります。[33]

2026年調査は3月31日〜5月3日、約1万5,000人のEV利用者が回答。上の割合の対象は、EV利用者の世帯です。

実際の利用者は、冬の経験も踏まえて車を選んでいる

NAFが発行する自動車メディアMotorは、2025年7月、ポッドキャスト編集者のStein Morten Lierさんに車の使い方を聞いています。Lierさんは、充電にかかる費用と通行料金の低さをEVを選ぶ理由に挙げ、車内で収録するときの静かさも評価しています。[34]

一方で、以前の車では冬の急速充電に時間がかかった経験があり、次の車選びでは電池の予熱機能を重視したと話しています。EVの利点を知る人も、寒さへの備えを考えながら選んでいる。こうした実際の使い方に目を向けると、導入後に役立つ機能が具体的になります。[34]

充電サービスの使いやすさも改善が続いています。EV協会の調査で急速充電料金を把握しにくいと答えた割合は、2025年の70%から2026年には55%へ下がりました。車や充電器を増やすだけでなく、料金が分かりやすく、迷わず使えるサービスにすることも、普及を支える仕事です。[35]

寒い地域でも、駐車中の充電と出発前の予熱を組み合わせればEVを使いやすくできる

低温で航続距離や急速充電の性能が変わることは、NAFの冬季試験でも確かめられています。それを踏まえて現地では、充電器につないでいる間に車内を暖め、電池の予熱に対応する車では、遠出の途中の急速充電に備えて予熱する使い方が案内されています。[36][37]

日本でも、自宅や営業所に夜間停める車なら、駐車中に翌日の走行分を充電し、出発時刻に合わせて車内を暖める方法が考えられます。長距離の移動が多い方は、冬の航続距離に加えて、電池の予熱機能と途中の充電場所も車選びの条件にすると、実際の使い方を想像しやすくなります。

ノルウェーでは寒さへの対策を重ねながら、購入しやすい税制、選べる車種、家でも外でも充電できる設備を整えてきました。そうしてEVを普段の車として選べるようになったのが、この20年の変化です。日本でも、車の性能と毎日の使い方を一緒に考えることが、EVを便利に使う出発点になります。

ご自宅や営業所でのEV充電を、使い方に合わせて考えませんか

夜間に停める社用車を充電したい、集合住宅の駐車場に充電設備を増やしたい。LinkT&Bでは、駐車時間や走行距離、設置場所に合わせたEV充電設備と運用方法をご提案します。

EV充電について問い合わせる EV充電事業を見る

出典・データについて

資料確認:2026年10月17日。グラフは公表値からLinkT&Bが作成。期間・集計単位の違いは各図に記載しています。

  1. SSB・新車登録の月次統計(表14020) 本文へ
  2. OFV・2025年の新車販売実績 本文へ
  3. OFV・新車登録の最新公表 本文へ
  4. ノルウェー政府・NOU 2022:20 第15章 本文へ
  5. ノルウェー政府・2001年度予算合意 本文へ
  6. ノルウェー政府・国家交通計画2018〜2029 第11章 本文へ
  7. ノルウェー税務当局・VATハンドブック §6-8 本文へ
  8. ノルウェー税務当局・初回登録税 本文へ
  9. ノルウェー政府・欧州の新車CO₂規制とEEAへの導入 本文へ
  10. 日産・ノルウェーでのリーフ販売開始の記録 本文へ
  11. OFV・2018年の新車販売 本文へ
  12. OFV・2019年の新車販売 本文へ
  13. OFV・2021年の新車販売 本文へ
  14. ノルウェーEV協会・2021年の車種別実績(OFVデータ) 本文へ
  15. XPENG・2025年ノルウェー販売実績 本文へ
  16. ノルウェーEV協会・2024年の急速充電設備 本文へ
  17. ノルウェーEV協会・2025年の急速充電設備 本文へ
  18. NOBIL・充電統計の数え方 本文へ
  19. Tesla・欧州のSupercharging接続方式 本文へ
  20. IEA・2009年のノルウェー充電設備支援 本文へ
  21. Enova・急速充電網への支援(2022年4月5日) 本文へ
  22. オスロ市・集合住宅の充電設備と助成事例(2020年) 本文へ
  23. Figenbaum・ノルウェーのBEV35年史(EVS38、2025年) 本文へ
  24. ISO・ISO 15118-2:2014 本文へ
  25. ISO・ISO 15118-20:2022 本文へ
  26. CharIN・プラグ&チャージとPKI 本文へ
  27. IONITY・接続と支払い方法 本文へ
  28. ABB E-mobility・ISO 15118ホワイトペーパー(2024年) 本文へ
  29. SSB・登録乗用車と動力別内訳(表07849) 本文へ
  30. ノルウェーEV協会・Elbilisten 2025 本文へ
  31. ノルウェーEV協会・EVだけを保有する世帯の調査(2026年7月31日) 本文へ
  32. Motor・Stein Morten Lier氏への取材(2025年7月) 本文へ
  33. ノルウェーEV協会・急速充電料金の分かりやすさ(2026年7月9日) 本文へ
  34. NAF・2026年冬季EV試験 本文へ
  35. NAF・EVの予熱方法(2026年10月更新) 本文へ
  36. NAF・エンジンヒーターの使い方(2023年更新) 本文へ
  37. ノルウェーEV協会・2015/2016年の全BEV車種表(OFV) 本文へ
  38. ノルウェーEV協会・2017年の上位EV車種(OFV) 本文へ
  39. ノルウェーEV協会・2020年の新車実績 本文へ
  40. ノルウェーEV協会・2022年の上位車種(OFV) 本文へ
  41. OFV公式発表・2023/2024年の車種・動力別台数 本文へ
  42. OFV公式発表・2025年の上位20車種・20メーカー・動力別台数 本文へ
  43. ノルウェーEV協会・急速充電の同時利用台数(年次) 本文へ
  44. ノルウェー中央銀行・2026年10月16日の円/クローネ為替レート 本文へ
  45. Tesla・北米の充電規格NACSの公表 本文へ
  46. SSB・2024年の乗用車の所有者と利用者の区分 本文へ
  47. OFV・Bilåret 2025(年次資料) 本文へ
  48. ノルウェーEV協会・2018年の上位EV車種(OFV) 本文へ
  49. NOBIL:2024年末の充電設備記録 本文へ
  50. NOBIL:2025年末の充電設備記録 本文へ
  51. NOBIL:統計区分の説明 本文へ
  52. NOBIL:充電口の記録方法の変更 本文へ
  53. MG:ブランド紹介 本文へ
  54. Škoda(シュコダ):フォルクスワーゲングループとの30年 本文へ
  55. Kia:1944年からの歴史 本文へ
  56. XPENG:会社紹介 本文へ
  57. IEA:Global EV Outlook 2026・要旨 本文へ
  58. IEA:Global EV Outlook 2026・EV市場動向 本文へ
  59. Tesla:欧州向けウォールコネクター(Type 2・最大22 kW) 本文へ
← ブログ一覧へ