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寒いノルウェーでEVが普及した理由:購入支援と冬の充電・予熱

更新:2026年10月15日

寒冷地でのEV充電を表すイメージ

※イメージ画像

ノルウェーでは、2025年の新車乗用車販売の95.9%をEVが占めました。購入時の税制優遇に加え、自宅での充電や出発前の予熱が、寒い地域でEVを使う日常を支えています。現地の制度と住宅の充電事例を見ながら、日本の寒冷地でも取り入れられる使い方を考えます。

この記事の内容
  1. ノルウェーの新車販売では、2025年のEV比率が95.9%に達した
  2. ノルウェーは、登録税と付加価値税を軽減してEVの購入を後押しした
  3. 寒冷地では、駐車場の電源でエンジンを暖めてから出発してきた
  4. EVは出発前に車内を暖め、暖房による電池の消費を抑えられる
  5. 冬の急速充電は、電池を暖めてから行うと待ち時間を減らせる
  6. ノルウェーの住宅組合は、既存の駐車場にEV充電設備を増やしてきた
  7. 日本の寒冷地でEVを使うなら、夜間の充電と出発前の予熱を組み合わせる
  8. 出典・参考資料
  9. EV充電設備と運用の相談

EVは寒さが苦手だと聞いたことがある方も多いでしょう。低温になると航続距離が短くなり、急速充電にも時間がかかることがあります。それでも、寒冷地のノルウェーでは新車販売のほとんどをEVが占めています。

ノルウェーでは、税制優遇によってEVの購入負担を軽くし、住宅などに充電設備を整えてきました。使う人にとっては、帰宅後に充電を済ませ、寒い朝には車内を暖めてから出発できることも利点です。まず購入を支えた政策を確認し、その後で冬の充電や予熱の使い方を見ていきましょう。

ノルウェーの新車販売では、2025年のEV比率が95.9%に達した

ここでいうEVは、エンジンを持たず電池の電力だけで走るBEVです。ノルウェーの自動車情報評議会OFVによると、2025年の新車乗用車販売に占めるBEVの割合は95.9%でした。2026年1〜9月も97.9%と、高い水準が続いています。[1][2]

95.9%は、2025年に新しく販売された乗用車のうち、EVが占める割合です。以前に購入されたエンジン車も走っていますが、新車を買う人の間ではEVが主流になっています。

ノルウェーは、登録税と付加価値税を軽減してEVの購入を後押しした

ノルウェー政府は、車を初めて登録するときの登録税と、購入価格にかかる付加価値税(VAT)を軽減し、EVを買いやすくしてきました。制度の対象はノルウェー国内です。VATは日本の消費税に相当し、標準税率は25%。この税金を免除・軽減すると、購入者が支払う金額を直接抑えられます。[3][4]

ノルウェーの主なEV購入税制(2026年10月13日時点)
開始・適用期間制度どの程度、負担が軽くなったか
1990年〜2022年初回登録税の免除EVは初回登録税が免除。エンジン車の登録税は車両重量や排出量などで変わるため、軽減額も比較する車種によって異なります。[3]
2001年7月〜2022年12月EVのVATを全額免除対象となる車両価格にVATがかからない仕組み。一般の標準税率が24%だった2001年に始まり、標準税率25%の時期にも続きました。[3][5]
2023年1月〜2025年12月VATの免税枠を50万NOKに設定税抜車両価格の50万NOKまでが免税。超えた部分に25%を課税。通常課税と比べた軽減額の上限は、1台あたり12万5,000NOKです。[6]
2023年1月〜EVにも重量に応じた登録税を導入乗用車共通の重量課税がEVにも適用。2026年は500kgを超える部分に1kgあたり12.71NOKがかかります。エンジン車にかかる、これ以外のCO₂・重量に応じた登録税はEVでは引き続き免除されます。[7]
2026年1月〜VATの免税枠を30万NOKに縮小税抜車両価格の30万NOKまでが免税。超えた部分に25%を課税。軽減額の上限は、1台あたり7万5,000NOKです。[6]

NOKはノルウェークローネです。上のVAT優遇は、外部電源で充電し、電気だけで走る乗用車が対象です。次に、税抜価格が同じ車を買う場合に、税制の違いで支払額がどれだけ変わるかを見てみましょう。

税抜60万NOKのEVでは、VATの優遇で購入時の支払額はいくら下がるか

車両本体の税抜価格を60万NOK、通常のVATを25%と仮定します。登録税・付属品・手数料は別に扱い、下の表では車両本体とVATの合計を比較しています。

同じ税抜価格でのVAT比較(単位:NOK)
適用する制度支払うVAT本体+VAT通常課税との差
通常の25%課税150,000750,000—
2022年のEV0600,000150,000安い
2023〜2025年のEV25,000625,000125,000安い
2026年のEV75,000675,00075,000安い

2023〜2025年なら、50万NOKを超える10万NOKに25%をかけて、VATは2万5,000NOK。2026年なら、30万NOKを超える30万NOKに25%をかけて、7万5,000NOKになります。税抜価格をそろえたこの例では、優遇が縮小した2026年も、通常のVATを払う場合より購入時の支払額が7万5,000NOK少なくなります。[6]

今後については、政府の2027年度税制案で、VATの免税枠を2027年に15万NOKへ縮小し、2028年に廃止する方針が示されています。2026年10月13日時点では提案段階で、現在適用されるのは上の表の2026年の制度です。[4]

ノルウェーは、EVがまだ珍しかった時期から購入時の負担を下げ、普及に合わせて税制を見直してきました。買うときの費用を抑える政策と、買った後に日々充電できる環境を組み合わせたことが、寒冷地でもEVを選びやすくしてきたと考えられます。

寒冷地では、駐車場の電源でエンジンを暖めてから出発してきた

低温ではエンジンオイルの粘度が上がり、エンジンを始動するときの負担が大きくなります。その負担を軽くするために、駐車場の電源につないで車を暖めるエンジンヒーターが使われてきました。

ノルウェーのDEFAは、車の構造に応じて冷却水、エンジン本体、オイルなどを暖める製品を提供しています。車内用ヒーターや12Vバッテリーの充電器を組み合わせた製品もあります。ドライバーが駐車中に電気を使って出発に備える方法は、EVが普及する前から使われていました。[8]

エンジンヒーター用の電源がある駐車場では、車を止めている間に電源につないでおき、出発前にエンジンを暖めます。「駐車中に電源につないで、翌朝の出発に備える」という習慣は、今のEV利用とも共通しています。

EVは出発前に車内を暖め、暖房による電池の消費を抑えられる

寒い朝も、乗り込む前にEVの車内を暖めておけば、暖房が効くまで待たずに出発できます。ノルウェー自動車連盟NAFも、出発前の予熱を勧めています。予約に対応する車なら、車内の設定画面やスマートフォンのアプリに、いつもの出発時刻を登録しておく使い方です。

充電器につないだまま予熱し、暖房に必要な電力を充電器からまかなえれば、走行用の電池の消費を抑えられます。車内と電池の両方を暖める車種なら、出発時に電池の温度も整えられます。まずはご自身の車で使える予熱機能を確認し、朝の通勤時間に合わせて設定すると、毎日の使い方に取り入れやすくなります。[9]

冬の急速充電は、電池を暖めてから行うと待ち時間を減らせる

冬は電池が冷えると充電電力が低くなり、急速充電にも時間がかかります。NAFは、対応車の電池予熱機能を使うことや、走行で電池が暖まってから充電することを勧めています。ナビで急速充電器を目的地に設定すると予熱が始まる車なら、出発時に充電先も登録しておきましょう。画面やアプリで予熱を始める車では、充電器へ向かう前に操作しておくと、到着までの時間を予熱に使えます。[10]

長距離を走る日は、休憩や買い物をする場所に充電器があれば、その間に充電できます。NAFも、もともと立ち寄る予定の場所で充電する使い方を紹介しています。買い物先の充電器で次の目的地までの走行分を補えれば、充電だけのために立ち寄る回数を減らせます。

冬の遠出では、車種ごとの冬季試験が充電場所を決める参考になります。NAFの2026年冬季試験は氷点下15〜25℃、一部では氷点下32℃の環境で行われました。寒い日に走れる距離を参考に、電池の残量に余裕を持って到着できる充電場所を選びましょう。近くの別の充電器も調べておくと、先客がいる場合や利用できない場合にも行き先を変えられます。[11]

ノルウェーの住宅組合は、既存の駐車場にEV充電設備を増やしてきた

ノルウェーのMellomenga住宅組合は、2019年にガレージと一部のエンジンヒーター用駐車区画へEV充電設備を整備する計画を案内し、住民から充電器の申し込みを受け付けました。エンジン車の予熱に使っていた駐車区画にも、EVを充電する設備を追加してきた具体例です。自宅の駐車場で充電できれば、住民は帰宅後にケーブルをつなぎ、次の外出までの時間を使えます。[12]

同組合の案内では、利用者のアカウントに充電器をひも付け、充電量を自動で記録して、毎月の料金を精算しています。誰がどれだけ充電したかを記録できれば、共同住宅でも住民ごとに費用を分けられます。充電器の設置と料金の精算を一緒に考えることで、複数の世帯が使いやすい設備を計画できます。[13]

Ola Narr住宅組合は、2019年に16台分の充電区画を設けました。複数の車が同時に充電すると、設備が台数に応じて電流を自動調整します。日本のマンションや社宅でも、限られた電力を複数の車に分けて供給する方法が考えられます。管理組合や設備担当者が、同時に充電する台数と駐車時間を確認すると、各車に必要な充電量を確保できる設備を選びやすくなります。[14]

住宅組合が設備を整備一部の予熱用駐車区画も対象
住民が駐車中に充電専用の充電設備を使用
住民ごとに電気代を精算電力量を自動で読み取り

日本の寒冷地でEVを使うなら、夜間の充電と出発前の予熱を組み合わせる

たとえば、北海道や東北でEVを毎日の通勤に使うなら、帰宅後から翌朝までの時間に充電する方法があります。冬の往復通勤で使う電力量を、その時間内に充電できる車と設備を選んでおけば、帰宅後にケーブルをつないで翌朝に備えられます。出発時刻に合わせて予熱できる車なら、暖まった車内に乗って出発できます。

営業などで一日中車を使う方なら、訪問先までの経路にある充電器を調べ、昼食や休憩の時間に充電する方法が考えられます。午後に走る距離に対して、休憩中にどれだけ充電できるかを見ておくと、立ち寄る施設と充電時間を決めやすくなります。食事や休憩と充電を重ねれば、充電のためだけに予定を増やさずに済みます。

自宅や会社に充電器を設置する際は、雪が積もった日にもケーブルが車まで届き、無理なく抜き差しできる場所を選びます。雪を積み上げる場所や除雪する通路も、施工業者に伝えておきましょう。充電器が雪に埋もれず、ケーブルが通路を横切らない配置にすると、雪の日も帰宅後に充電しやすくなります。

出典・参考資料

  1. OFV・2025年の販売実績本文へ戻る
  2. OFV・2026年9月の発表本文へ戻る
  3. ノルウェー政府・NOU 2022:20 第15.2.2節(登録税・VAT優遇の沿革)本文へ戻る 1本文へ戻る 2本文へ戻る 3
  4. ノルウェー政府・2027年度税制案 第9.2節(VAT優遇の縮小案)本文へ戻る 1本文へ戻る 2
  5. ノルウェー政府・2001年予算合意 第5.6・5.8項(EV免税開始と当時のVAT税率)本文へ戻る
  6. ノルウェー税務当局・VATハンドブック §6-8(2026年1月から免税枠30万NOK)本文へ戻る 1本文へ戻る 2本文へ戻る 3
  7. ノルウェー税務当局・登録税の仕組み(2023年からの重量課税と現在の税率)本文へ戻る
  8. DEFA・エンジンヒーター本文へ戻る
  9. NAF・出発前の予熱と電源の使い方本文へ戻る
  10. NAF・寒い日の急速充電本文へ戻る
  11. NAF・2026年冬季試験本文へ戻る
  12. Mellomenga住宅組合・2019年の充電設備整備案内本文へ戻る
  13. Mellomenga住宅組合・現在の充電と精算の案内本文へ戻る
  14. Ola Narr住宅組合・充電設備の運用案内本文へ戻る

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